行政書士試験対策ノート みんみんみんぽー

私が行政書士試験の受験のために記述したノートを、可能な限りブログにアップしていきます。これは、試験勉強のためのノートであり、実際の法律解釈とは異なる場合がありますのでご注意ください。これからの受験生の方のために、少しでも参考になればよいと思います。

失踪宣告と同時死亡の推定

災害などで、生死が不明になった場合、生存が不明である状態を長く放置することは法律上好ましくありません。相続手続きが開始されないということは、その人の財産はそのまま放置され、その価値を失わせることにもなりかねないからです。

 ですが、生存の可能性が失われていない以上、その人の

 財産をむやみに相続させることもできません。

よって、利害関係人(相続人等)と、家庭裁判所の宣告により、不明者の死亡を擬制する制度が設置されました。

これを失踪宣告といいます。

 

・普通失踪

最後に生存が確認された時から、7年間、生死不明の状態にあるときは、利害関係人の請求と家庭裁判所の宣告で、死亡が擬制されます。これは、請求時に死亡したとされるのではなく、最後に確認された時から7年経過した時点で死亡したと擬制されます。

 

・特別失踪

戦争や大災害・大事故などの危難があった時に生死不明となった場合、1年間生死不明であれば利害関係人の請求と家庭裁判所の宣告により、死亡が擬制されます。こちらは、1年経過した時点での死亡擬制ではなく、「危難が去った時」に死亡が擬制されるのです。たとえば、戦争で生死不明の場合、戦争が終結(終結宣言ではなく、現実に終結したとき)したときに死亡したとみなされます。

 

失踪宣告がなされて相続が開始した場合でも、その後生存が確認された場合には失踪宣告を取り消すことができます。

これは、本人もしくは利害関係人の請求があった場合、家庭裁判所は宣告を取り消さなければならない、と民法32条にあります。請求による取り消しは義務的となります。

原則、取り消し効果は遡及効を持ちます。

死亡擬制の効果は初めからなかったこととなり、相続は発生しなかったとされます。

ですので、相続して受け取った財産は不当利得となり、返還義務が発生します。相続人が被相続人の生存に善意であれば現存利益の返還で足り、悪意であればすべての利益返還と損害賠償債務を負うことになります。

 

この時、問題となるのが婚姻です。

AとBが婚姻状態にあり、Aが失踪宣告を受け、BがCと再婚したとします。

BとCがAの生存に善意であれば、ABの婚姻は復活しません。後婚(BC)が前婚(AB)に優先します。

これに対し、BCの一方または双方がAの生存に悪意であれば、ABCの関係は重婚状態となり、前婚(AB)は離婚原因、後婚(BC)は婚姻の取り消し原因となります。

 

 

では、被相続人と相続人の死亡の先後が不明の場合はどうなるでしょう?

 

A ┳ B 

  C ┳ D

    E

の親族関係で、AとCの乗った飛行機が墜落して、両名が死亡した場合です。

 

Aが先に死亡していたと判明すれば、Aの相続人はBとCになり、それぞれが1/2づつを相続し、Cの相続分(+Cの財産)をDとEで1/2づつ相続することになります。

 

Cが先に死亡、もしくはAとCが同時死亡の推定(先後が不明の場合)を受けた場合には、Aの財産については、BとE(Cの相続分を代襲相続)で1/2づつ、さらにそれとは別個にCの財産をDとEで1/2づつ分配することになります。

 

Aの遺産については、Dは相続人とならないので、Cが先に死亡(もしくは同時死亡の推定を受けてしまうと)本来Cが相続するはずだったAの財産はEが代襲相続し、DはCの財産の半分を相続するのみになります。