行政書士試験対策ノート みんみんみんぽー

私が行政書士試験の受験のために記述したノートを、可能な限りブログにアップしていきます。これは、試験勉強のためのノートであり、実際の法律解釈とは異なる場合がありますのでご注意ください。これからの受験生の方のために、少しでも参考になればよいと思います。

制限行為能力者

行為能力とは・・・

 単独で有効に法律行為をなしえる能力を言う。

制限行為能力者とは、行為能力を制限された者のことをいいます。

具体的には、

1 未成年

2 成年被後見人

3 被保佐人

4 被補助人

となります。

 

1 未成年

原則:20歳未満の者

例外:成年擬制(未成年者が婚姻すると、成年に達したとみなされる)

未成年者の法律行為には法定代理人の同意が必要。同意のない行為は取り消すことができ、その効果は遡及して無効になります。

法律行為の相手側からは取り消しはできません。催告はできます。

例外的に、未成年者が単独で出来る行為として、「単に権利を得、または義務を免れる行為」というものがあります。未成年者自身が全く負担を負わない行為であれば、法定代理人の承諾なしに法律行為を行うことができます。

 

2 成年被後見人

精神上の障害により事理弁識能力を欠く常況にあり、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者のこと。

重度の精神的障害と家庭裁判所の後見開始の審判を受けることが要件です。

成年後見人には同意権がなく、法定代理人成年後見人)の同意を得て成年被後見人が行った行為も取り消すことができます。重度の精神障害があるので、後見人の同意の意思通りの結果があるとは限らないからです。

例外として、日用品の購入とその他日常生活に関する行為は単独で行うことができます。(取り消しできません)

 

3 被保佐人

精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分で、家庭裁判所の保佐開始の審判を受けた者。

中程度の精神障害と、家庭裁判所の保佐開始の審判を受けることが要件です。

保佐人は代理人ではなく、代理権はありません。被保佐人は自ら単独で行為を行うことができます。が、一定の者の請求により、民法13条1項に列記されている以下の行為について家庭裁判所が代理権の付与の審判を受けた場合、保佐人の同意が必要とされています。

 

十三条   被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

一  元本を領収し、又は利用すること。
   借財又は保証をすること。
三  不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四  訴訟行為をすること。
五  贈与、和解又は仲裁合意をすること。
六  相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七  贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八  新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九  第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。

(覚える必要はありません)

 

4 被補助人

精神上の障害により事理弁識能力が不十分で、家庭裁判所による補助開の審判を受けた者。

軽度の精神障害と家庭裁判の補助開始の審判が要件です。

被補助人に関しては、本人以外の者が補助開始の審判を請求する場合には本人の同意が必要となります。

家庭裁判所は補助人に対し、上記の民法13条1項に列記された行為の一部について同意権・代理権を付与することができます。が、被補助人は原則的にはすべての行為を自ら行うことが可能ですので、この審判を請求するには本人の同意が必要です。

 

制限行為能力者と取引した相手方は、適当な期間を定めて制限行為能力者の行為を追認するか否かを催告することができます。

制限行為能力者の行為について催告する相手は、

・未成年者→親権者、後見人(本人に催告はできない)

成年被後見人成年後見人(本人に催告はできない)

被保佐人→保佐人、被保佐人本人に対して「保佐人に追認を得る」ように催告ができる

・被補助人→補助人、被補助人本人に対して「補助人に追認を得る」ように催告ができる

期間内に確答がない場合、原則として追認したものとして擬制されます。これは、行為能力者(保護者・法定代理人)が現状でかまわないと判断したと考えるもので、行為能力者(被保佐人・被補助人)に対する催告が期間内に確答がない場合は取り消したものとみなされます。制限能力者を保護する目的のためです。

 

さらに、制限行為能力者が相手方に対し、行為能力者であると信じさせるような詐術を用いた場合、制限行為能力者であることを理由とした取り消しはできません。この場合の詐術とは、単なる黙秘は詐術にあたらないが、他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたような場合は詐術に該当します。