行政書士試験対策ノート みんみんみんぽー

私が行政書士試験の受験のために記述したノートを、可能な限りブログにアップしていきます。これは、試験勉強のためのノートであり、実際の法律解釈とは異なる場合がありますのでご注意ください。これからの受験生の方のために、少しでも参考になればよいと思います。

条件と期限

条件とは、法律行為の効力の発生・消滅を、その時点では発生するか否かわからない事柄の成否にかからしめる附款です。

期限とは、法律行為の効力の発生・消滅を、今後確実に起こる事柄にかからしめる附款です。

 

附款とは、主になる内容に付加されるもので、一定の条件などでその内容が制限されたりするもののことです。一番わかりやすい例は、運転免許に眼鏡等と書かれたものは、運転免許に眼鏡等をするという条件が付されたものです。

 

まず、条件には次の二つがあります。

 

停止条件

条件が成就したことにより、その時から法律行為の効果が発生するもの

解除条件

条件が成就したことにより、その時で法律行為の効果が消滅するもの

 

停止→発生、解除→消滅です。

名前と効果がちょっとおぼえにくいですね。

 

たとえば、「就職したら、お祝いに車を貸してあげる」は、”就職したら”が停止条件となり、就職したと相手方が知ったとき、”車を貸してあげる“という契約の効力が発生します。

「退職したら、貸していた車を返してもらう」といった場合、”退職したら“が解除条件で、発生していた車の貸与契約を解除するということになります。

 

では、「1週間以内に貸したお金を返さなければ、契約を解除します」と言われた時、停止条件でしょうか、解除条件でしょうか?

 

これは、停止条件です。

”1週間以内にお金を返さなければ”が停止条件となり、”契約を解除する“という契約効果が発生することとなります。ですが、本契約で「一定の事項が発生した場合、契約を解除できる」とした場合、解除条件となります。だんだん混乱してきましたね。

「契約を解除」という効果が発生するのか、「それまであった契約」が消滅するのか、結果は同じでも内容によって条件が異なってくるのです。

 

 

民法130条

条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方はその条件が成就したものとみなすことができる

 

上記の「就職したら車を貸してあげる」といった例で考えると、「貸してあげる」と言った本人が貸すのをイヤになって就職を邪魔したような場合です。

この場合、相手方は車を借りることができます。・・・その行為がうれしいかどうかはその人次第ですが。

 

このような各種の条件が有効であるかどうかについて、以下のような民法の規定があります。

 

1 既成条件

すでに条件が成就していた場合。

例「就職したら車をあげる→すでに就職していた」

 ・停止条件:無条件とみなす (発生まで停止する意味がないから)

例「退職したら車を返してもらう→すでに退職していた」

 ・解除条件:無効 (契約時からすでに効果が消滅しているので)

すでに条件が成就しないことが確定していたとき

例「就職したら車をあげる→すでに不採用が決まっていたとき」

 ・停止条件:無効 (効果発生はありえないから)

例「試験に合格しなかったら車を返してもらう→すでに合格していた」

 ・解除条件:無条件とみなす (効果が消滅することはないので)

 

2 不法条件

不法な条件を付すことは無効です。

例「あいつを殺したらカネをやる」

 

3 不能条件

実現不可能な条件

例「朝日が西から昇ったら・・・」

 ・停止条件:無効 (効果がいつまでも発生しないから)

 ・解除条件:無条件とみなす (発生した効果が解除されることはないので)

 

4 随意条件

条件の成就が相手方の意思のみにかかる場合

例「気が向いたらやります」「気が向いたらやめます」

 ・停止条件:無効(相手方を拘束する条件ではないので、意味がない)

 ・解除条件:期限の定めのない債務として扱われる

 

 

この期限の定めですが、条件と違い、必ず起きる事柄が効力の発生要件となります。

たとえば、「明日になったら」「1月1日になったら」「私が死んだら」などです。到来はいつになるかわからなくても、必ず到来する事柄を定めた附款です。

 

確定期限:到来が確実で、いつ到来するかも確定している期限

不確定期限:到来は確実だが、いつ到来するかは確定していない期限

 

契約が成立してから期限の到来時までのことを「期限の利益」といいます。これは、義務の履行までの期間は義務を履行しなくてよいという利益があるということです。期限の利益は、債務者のためにあると推定されます。推定ですので、反証があればこの限りでありません。

 

期限の利益を喪失する法的要因には次のようなものがあります。

1 債務者の破産

2 債務者が担保を滅失、損傷、減少させたとき

3 債務者が担保供与の義務を履行しないとき(担保を供与する義務があるとき)

 

以上のような場合は、債務者の「期限の利益」は失われ、債権者はすぐに義務の履行を請求できるようになります。