行政書士試験対策ノート みんみんみんぽー

私が行政書士試験の受験のために記述したノートを、可能な限りブログにアップしていきます。これは、試験勉強のためのノートであり、実際の法律解釈とは異なる場合がありますのでご注意ください。これからの受験生の方のために、少しでも参考になればよいと思います。

特定物債権と不特定物債権

債権には、その目的とする物によって、2種類に分類できます。

ひとつは、特定物債権。もう一つは、不特定物債権です。

 

特定物債権は、特定物(絵画や古美術品など)を目的とする債権で、その特定物以外では履行できない債権を言います。

 

不特定物債権は、不特定多数の物(金銭や酒類など)を目的とする債権で、その物は種類・品・数量を特定することで取引されています。

 

たとえば、AがBから壺を買った時、その壺が骨董品で唯一無二の作品であり、その個性に着目してAが購入を決めたのであればそれは特定物債権となります。ですが、その壺が量産品で、Aが小売りするために仕入れているような場合、その壺の数量や大きさなどを指定して購入するので、不特定債権となります。

 

特定物債権は、契約時の現状で引き渡す義務が売却する側に発生します。もし、引渡前に滅失したときは、履行不能となり賠償責任を負うことになります。

不特定物債権であれば、物が滅失しても債務者は同じ品質・種類の物を同じ数量調達すればよいので、履行不能責任は通常は問題となりません。

 

不特定物の所有権が移転すると、その物は特定されます。これによって、不特定物債権は特定物債権に姿を変えます。所有権の移転の時期については、特定物債権であれば契約の時、不特定物債権であれば物が特定されたときです。

 

では、不特定物が特定されるためにはどんな要件が必要でしょうか。

 

1 債務者が物の給付に必要な行為を完了したとき

 債務者が、現実に物を債権者に提供したときに特定されます。それは相手方が現実に受け取ったか否かは関係なく、債務者が相手方に提供する行為を完了すれば債務の履行をしたことになります。配達などの場合です。

2 債権者の合意を得て債務者が物を特定したとき

3 両者が合意の上で物を特定したとき

 当事者同士の特約があった時などです。

 

特定物債務において、債務者はその特定物に対して善管注意義務を負います。

ですが、危険負担については債権者主義となります。