物権と債権
物権とは、物(ぶつ)に対する直接的・排他的権利のこと。
債権とは、人に対して一定の行為を請求できる権利のこと。
物権は、基本的にひとつの物に対して一つしか成立しません。
これを、一物一権主義といいます。
一つの物に対して所有権は一つだけです。
複数の人がひとつの物を所有する方法もありますが、あくまで所有権を複数の人が持っていることであり、物に対する権利は一つしかありません。
不動産も一種の物ですから、不動産上に対して行使する権利も物権です。
かわって、債権とは物ではなく人に対する権利です。
売買行為の「代金支払い請求権」や「商品(物)の引き渡し請求権」などがこれにあたります。
物権は民法など法律に規定されており、個人の都合などによって物権を作り出すことはできません。
物権を分けると概ね次のようになります。
物権
┣占有権
┗本権 ┳所有権
┣担保物件 ━ 法的担保物件 ┳ 留置権
┃ ┗ 先取特権
┣ ━ ━ ━ 約定担保物件 ┳ 質権
┃ ┗ 抵当権(根抵当権)
┗用益物権 ┳ 地上権
┣ 永小作権
┣ 地役権
┗ 入会権
物権の設定および移転は、原則として当事者の意思表示による意志の合致によって発生します。例外として、特例があればそれに従うこととなります。
これに対し債権は、主に契約によって発生し、原則として契約時に発生します。
例外として、金銭消費貸借契約などは、金銭の引き渡しにより発生する債権です。これを要物契約といい、意志の合致+物の交付により契約が成立します。