行政書士試験対策ノート みんみんみんぽー

私が行政書士試験の受験のために記述したノートを、可能な限りブログにアップしていきます。これは、試験勉強のためのノートであり、実際の法律解釈とは異なる場合がありますのでご注意ください。これからの受験生の方のために、少しでも参考になればよいと思います。

私権主体とは

人は生まれながらにして権利能力を持ちます。

権利能力とは、「私法上の権利・義務の帰属する主体となりうる能力」のことです。

権利能力は、出生に始まり死亡で消滅します。

 

 ここで問題となってくるのが、胎児の権利能力です。

もちろん胎児は出生していませんので、本来の原則から考えれば権利能力はありません。ですが、胎児については一部の権利能力が判例によって認められています。

1、不法行為の損害賠償請求権

2、相続

3、遺贈

 

たとえば、父親が犯人に殺害されたような場合、母親の胎内にいる子は、犯人に対する損害賠償請求権をもち、父親の相続権を行使でき、たとえば祖父などからの遺贈をうけることができます。

その行使はもちろん、胎児本人はできませんので、通常は法定代理人である母親が代理行使します。

 

これは、あくまで胎児が生きて生まれた場合の話です。

では、死産だった場合にどうなるのか?

これについては、以下のような説があります。

 

・法定解除条件

胎児は懐胎したときに一部の権利能力(上記)を持っており、死産とともに遡及して権利能力が消滅するとの考え方。母親の胎内にいるときから権利を持っているので、法定代理人(母)は胎児の権利を通常代理行使できます。が、死産だった場合はそれまであった権利が最初からなかったことになります。

 

・法定停止条件

胎児の場合は権利能力を持たず、生きて出生したときに、遡及的に権利能力を持っていたと考える説です。ですので、胎児の時期には権利能力を持ちません。ですのでその時期の母親の代理権もありません。生きて出生するまで、権利は発生しないと考えています。生きて出生したときに初めて遡及的に権利を得るという説です。

 

判例では法定停止条件説を取っているように思いますが、どちらかが採用されているということはないようです。