代理人
代理とは、代理人が本人に代わって意思表示と法律行為を行い、その効果が本人に帰属することを言います。
代理人と使者との違いは、使者には意思の決定権がないこと。
そして、使者には行為能力も必要ありません。
代理の分類については大きくわけて次の二つがあります。
・任意代理
当事者が信頼関係において行う代理関係
委任契約と代理権の授与により代理権が発生します。
・法定代理
身分関係から当然に生じる代理関係
任意代理においては、代理権の授与の範囲を定めることが普通です。範囲の定めがない場合(明らかでない場合)、可能な行為は「保存行為」「利用行為」「改良行為」に限られます。
保存行為・・・現状を維持させるために必要な行為(建物の修繕など)
利用行為・・・性質の変更を生じない程度の収益行為 (現金を預金するなどの行為)
改良行為・・・財産の価値を増加させる行為(無利息貸付を利息付きにする行為など)
代理人が代理権の行使に際して不都合があるときは、復代理人を選任することができる場合があります。復代理人は、「代理人の代理人」ではなく、あくまで「本人の代理人」として代理行為を行います。
復代理人を任命した代理人の代理権が消滅したときは、復代理人の復代理権も消滅します。
任意代理人が復代理人を選任するには、”本人の承諾”又は”やむを得ない事情”が必要となります。これは、任意代理人は原則として復代理人の選任権を持たないことを表しており、任意代理という制度が当事者同士の信頼から成り立っていることが理由です。
法定代理人が復代理人を選任することは常にできることとなります。これは、法定代理人は一身上の立場により代理権を得ることになることから、必要であると考えられます。
復代理人によって本人に損害が発生した場合、原代理人が責任を負うことがあります。
任意代理人の場合
・選任監督に過失があったとき
・本人の指名した復代理人を選任した場合、復代理人の不誠実・不適任であることを知りながら、本人への通知・復代理人の解任を怠った場合
・無過失責任
・やむを得ない事情に基づき選任した場合、選任監督に過失があったとき
代理人自身も、本人の利益を害する行為は当然ながら本人に対し責任を負うことになります。
さらに、自己契約(代理人が相手方となって契約行為を行う)や双方代理(代理人が本人と相手方両方の代理人になること)は禁止されています。