行政書士試験対策ノート みんみんみんぽー

私が行政書士試験の受験のために記述したノートを、可能な限りブログにアップしていきます。これは、試験勉強のためのノートであり、実際の法律解釈とは異なる場合がありますのでご注意ください。これからの受験生の方のために、少しでも参考になればよいと思います。

先取特権

先取特権(さきどりとっけん)とは、一定の事実の発生により当事者の意思表示なくして発生する法定担保物権です。

 一定の要件を満たすことにより、契約することなく優先配当を受ける権利です。

 

先取特権は、大きくわけて次の二つになります。

・一般先取特権・・・債務者の総財産上に成立します。

・特別先取特権・・・債務者の特定の財産上に成立します。

 

一般先取特権は、次の4つです。

1 共益費用・・・各共有者の共同利益のために支出した費用については先取特権が発生します。たとえば、ABCの三人が共有する甲建物を売却する時、甲建物の修繕費をAが支出した場合、その支出分をAが売却代金から優先配当を受けられるということです。

 

2 雇用関係・・・給料などは、会社の債権者に優先して配当を受けることができます。

 

3 葬式費用・・・債務者が死亡したとき、債務者の遺産から親族などが葬儀代を債権者に優先的に配当を受けられます。

 

4 日用品の供給・・・生活に必要な日用品の売却は、他の債権者に対して優先的に配当を受けます。債務を負った債務者が、日用品の販売者から売買を拒否されないようにするための規定です。

 

 

 

特別先取特権は、動産先取特権と不動産先取特権に分かれます。

 

動産先取特権は次の7つ。

1 不動産賃貸・・・不動産の賃借人が賃料を支払わないときに、借地を利用するために備え付けた動産を競売して賃料に充当する

 

2 旅館宿泊・・・宿泊者(債務者)の荷物等から宿泊代金の優先弁済を受ける

 

3 旅客または荷物の運輸・・・タクシーや宅配便などの運送等について優先弁済を受ける

 

4 動産の保存・・・動産の修繕費についての優先弁済

 

5 動産の売買・・・動産を売買したときの動産の売買代金は買主の債権者に優先して弁済を受ける

 

6 種苗・肥料等・・・種苗・肥料等の売主は、それによって生じた天然果実先取特権を有する

 

7 農業・工業の労務・・・農業・工業の労働者は、その労働によって生じた果実や制作物に労務費の先取特権を有する

 

 

 

不動産先取特権は次の3つです。

1 不動産の保存に関する費用・・・不動産保存のために要した費用または不動産に関する権利保存・承認・実行の費用

 保存行為終了後、ただちに登記しなければならない

 

2 不動産の工事に関する費用・・・不動産の工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用

工事によってした不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増加分についてのみ存在する

工事前に登記が必要 新築工事の場合は予算額を登記する

 

3 不動産売買に関する費用・・・不動産売買の代金およびその利息の請求権

所有権移転と同時に登記が必要

 

不動産先取特権は、いずれもその目的となっている不動産にのみ発生します。

 

先取特権同士が競合した場合、優先される順位にも規定があります。

一般先取特権について

1共益費用

2雇用関係

3葬式費用

4日用品供給

の順番で優先されます。

 

動産の先取特権

1不動産賃貸・旅館宿泊・運輸運送

2動産保存

3動産売買・種苗肥料・農工労務

の順です。

 

不産先取特権

1保存

2工事

3売買

の順です。

 

他の権利との順位は、

不動産が目的物の場合

1保存先取特権

2工事先取特権

3売買先取特権

 不動産質権

 抵当権

 登記ある一般先取特権

4未登記の一般先取特権

5一般債権

 

動産が目的物の場合

1質権

 不動産賃貸先取特権

 旅館宿泊先取特権

 運輸運送先取特権

2動産保存先取特権

3動産売買先取特権

 種苗肥料先取特権

 農工労務先取特権

4一般先取特権

5一般債権

 

以上の順で優先弁済を受けます。