所有権1 共有
共同所有の3形態
1 共有・・・各共有者が持ち分を持つ。各自の持ち分につき分割請求ができる
2 合有・・・持ち分概念はあるものの、持ち分の処分、分割請求は不可
3 総有・・・持ち分の概念はない
共有について見ていきましょう。
各共有者はその共有物の全部につき、その持ち分に応じた使用ができます。ABCの3人が車1台を共有していれば、Aは単独でその車をAの持ち分に応じて使用できます。
車の1/3を使用できるわけではありません。車全部を使用できるのです。
AB共有の甲土地があり、Cが何らかの行為をした場合のAの請求権について
1 甲土地にCが無断で建物を建てている場合
AはCに単独で返還請求できます。
2 甲土地にCが無断で建材や自動車などを置いている場合
AはCに単独で妨害排除請求できます。
3 甲土地へのCの不法行為によりその価値が滅失した場合
AはCに単独で損害賠償請求できます。(Aの持ち分の範囲においてのみ)
4 甲土地をCが占有している場合に、甲土地の所有権について争いが生じた場合
ABは共同でCに対し所有権確認訴訟を提起する必要があります。
(固有必要的共同訴訟で、民事訴訟法に規定があります)
5 BがCへの共同訴訟に参加しない場合
Aは単独でCに対して持分確認訴訟を提起します。
Bの持分は時効中断効は発生しないため、AC共有となります。
6 甲土地の登記がC名義の不実の登記がされている場合
AはCに単独で登記抹消請求権を行使できます
※いずれの場合も、AB共同でCに権利行使できる場合は、単独で行使はできず、共同で行わなければなりません。訴訟の乱立を防ぐためです。
共有者間の行為による関係
1 保存行為
共有物の現状を維持するために必要な行為
それぞれの共有者が単独でできます
2 管理行為
共有物の利用・改良行為
各共有者の持分の価格の過半数で決定します
3 変更行為
法律的・物理的に共有物を変化させる
共有者全員の同意が必要です。
共有者はいつでもその持ち分に応じて他の共有者に対し目的物の分割を請求できます。
1 現物分割・・・目的物を持分に合わせて分割します。(土地など)
2 代金分割・・・目的物を換金するなどして持分に合わせて分割します(車などを売却してその代金を分ける)
3 価格賠償・・・共有物を共有者の一人が所有することとし、他の共有者にその持ち分に合わせて金銭債権を与えること(事実上、持分の買い上げ)
共有者間で分割協議がそろわないときは、裁判所に分割を請求できます。