行政書士試験対策ノート みんみんみんぽー

私が行政書士試験の受験のために記述したノートを、可能な限りブログにアップしていきます。これは、試験勉強のためのノートであり、実際の法律解釈とは異なる場合がありますのでご注意ください。これからの受験生の方のために、少しでも参考になればよいと思います。

動産物権変動(即時取得)

動産の物権取得の対抗要件は、引渡です。

動産を引き渡しによって占有を開始することによって動産に対する物権を得ることになります。

 

・引渡の種類

引き渡しには、以下の4種類があります。

1 現実の引渡     A■   B → A    ■B

 Aが所持していた動産を現実にBに引き渡します。

2 簡易の引き渡し   A   ■B → A    ■B

 BがAから預かっていた動産を、以降Bのものとして引渡します。

3 占有改定      A■   B → A■    B

 AからBへ動産の引き渡しはするものの、Aがその動産を占有し続ける

4 指図による占有移転 A  C■  B → A   C■  B

 Aの物を占有しているCに対し、Aが「以後Bのために占有」を命じ、BがAに対し承諾の意思表示をする。

 

民法186条

  1. 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
  2. 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。

 

動産には登記制度がありません。所持品をいちいち全部登記していたら大変なことになります。ですので、占有者が占有している動産に関しては、所有の意思と善意・平穏・公然の推定が及びます。さらに、動産に関しては即時取得という制度があります。

 

民法192条

取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。 

 

AがBの占有する動産を、有効な取引により、善意・無過失・公然と引き渡しを受けた場合、Bが無権利者であってもその動産の物権を取得します。

1 目的物が動産

2 その動産について無権利者からの権利取得

3 取得者の善意・無過失・平穏・公然

動産の場合、他人物売買であっても、取引自体が有効であれば、即時取得する可能性があります。無権代理人からの取得の場合は、表見代理が成立しない限り有効な取引とは言えず成立しません。

 

即時取得の例外は以下のような場合です。

 

民法193条

前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる

民法194条

占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。

 

占有物が盗品・遺失物の場合、被害者・遺失者は、盗難・遺失のときから2年間はその物を占有者から回復(とり戻す)ことができます。この場合、特に規定がないので、代価や弁償などは必要ありません。

ですが、現在の占有者が競売・公の市場・同種の物を販売する商人のいずれかのルートで買い受けた場合、その代価を弁償することが必要となります。

 

即時取得の要件として、引渡を受けなければなりませんが、占有改定では公然性が保証されないため、即時取得は成立しないとされています。