行政書士試験対策ノート みんみんみんぽー

私が行政書士試験の受験のために記述したノートを、可能な限りブログにアップしていきます。これは、試験勉強のためのノートであり、実際の法律解釈とは異なる場合がありますのでご注意ください。これからの受験生の方のために、少しでも参考になればよいと思います。

無権代理

狭義の無権代理・・・代理権がないものが代理権を行使し契約した場合

代理権がないとは、そもそも代理権授与がされていないか、代理権の範囲外の行為をしたということです。

原則、本人には効果は帰属しません。

 ですが、万が一にも、無権代理人が本人のためを思って、一生懸命代理行為をしたとしたら、それは本人にとって利益のある結果が生まれるかもしれません。

その場合、本人が望むのにもかかわらず一律無効としてしまっては本人も相手方も望むべき結果ではないでしょう。

 

この場合、本人は無権代理人の行為を追認できます。

追認によってその効果は確定し、本人に契約効果が帰属することになります。

追認後の取り消しは、原則できません。

 

 

まず、BがAの代理人としてCと契約をした場合。

1 Aが追認すれば確定

2 Aが追認拒絶すればBはCに対して無権代理の責任を負います。

3 Aが追認も拒絶もしない場合、CはAに対して催告できます。

4 Aが催告に対して追認・拒絶のいずれかを行えばその効果が発生します。

5 Aが期間内に催告に確答しない場合、追認を拒絶したものとみなされます。

  これは、Aにとって現状維持となることにより、損害を与えないためです。

 

本人の追認が得られない場合、無権代理人は責任を負います。この場合、無権代理人は無過失責任であり、自身が代理権がないことを知らなかったことに正当な理由があっても(善意無過失)責任を負います。

無権代理人の責任の成立要件は、

1、無権代理行為があり、

2、無権代理人が代理権の存在証明ができず、

3、本人の追認がなく、

4、相手方が代理権の不存在に善意かつ無過失であることです。

無権代理人が制限行為能力者だった時は、責任追及できません。

 

無権代理人に対して責任追及する相手方は、相手方に対して履行の請求又は損害賠償を請求できます。

相手方の選択で、どちらか一方ということになります。

「履行の請求」は、あたかも契約が無権代理人との間で有効であるかのように履行すべき責任であると解されています。

 

では、無権代理人が本人を相続した場合、無権代理責任は発生するでしょうか?

 

ケース1:本人が追認拒絶後に無権代理人が本人を相続

この場合、一度本人が拒絶した以上、無権代理行為は有効にはなりません。

ですが、本人の拒絶した立場を承継するので、履行の請求は拒絶できますが、賠償責任は負うという立場になります。

 

ケース2:本人を無権代理人が単独相続

この場合は、本人の追認権を無権代理人が相続すると考えるのは信義則上不当として、無権代理行為は有効になると考えられています。

 

ケース3:本人が無権代理人を相続

本人ですから、追認拒絶は可能です。が、無権代理人の責任も承継するため、相手方が善意無過失であれば責任を負います。

 

ケース4:無権代理人が本人を共同相続

追認権、追認拒絶権も共同相続人に不可分に相続されると考えられるため、共同相続人全員の承諾がなければ追認できません。